気分が変わるパート
技術革新が生まれ、新産業が生まれてくる。
やがてはこの新産業がシステムとして、高齢化を迎えた国々に対して輸出される可能性もあり得る。
高齢化への対応にはそうした積極的な面もあることを認識すべきだ。
日本の少子化傾向が加速している。
一人の女性が生涯に生む子供の数を示す合計特殊出生率をみると、一九四七年には四.五四の水準だったのが次第に低下した。
それでも、一九七0年代半ばまでは二.Oを超える水準で推移したが、その後、低下し始め、八九年には丙午の都市(一九六六年)の一.五人より低い一.五七に、二OO二年には一.五にまで落ちてきている。
人口が増減しない定常状態を維持するためには、合計特殊出生率は二.O八ぐらい必要であり、日本の人口は二OO六年から減少し始めるという状況だ。
合計特殊出生率低下の原因の一つは晩婚化である。
その背景としては、女性の社会進出が進んでいること、社会の価値観が変わり、女性が結婚相手の家族との関係を負担に感じるようになってきていることがある。
そのため、なかなか結婚に踏み切れなくなり、初婚年齢が上がっている。
あるいはこれは女性ばかりでなく男性もそうだが、生涯未婚という人も増えてきている。
難しくなった子育てもう一つの原因は子育ての難しきである。
とりわけ幼児保育が難しい。
いまの若い夫婦の多くは共稼ぎであり、子育て期の女性でも六割ぐらいは仕事をしている。
核家族化で両親の助けはあまり期待できないから、仕事をしながら子供を育てるには、保育所のインフラが整っているかどうかが重要である。
大都会では保育所のインフラが極度に不足しているため、子育てが非常に難しくなっている。
幼児期を過ぎて一応親の手がかからなくなっても、今度は学童保育の問題がある。
特に低年齢の場合、小学校も幼稚園も午後二時や三時という早い時間に終わってしまう。
仕事をしている母親が帰ってくるのは早くても夕方過ぎになるので、その聞の時間をどうするかという問題である。
つまり、日本のいまの若い夫婦の多くは、子供は生めても育てられないという状況に直面しているのである。
この問題は大都会において特に深刻であり、大都会の出生率の急速な低下につながっていると思われる。
貧困な子育て支援のインフラ従って、子育て支援という場合、保育所を中心としたインフラの充実が不可欠と舌守える。
子育て支援のインフラの現状をみると、二OO二年二一月現在で認可保育所が二万二二七二カ所あり、一八七.九万人の子供を預かっている。
保育所は制度上、公立と特殊法人の社会福祉法人立の二つに分けられる。
公立は全国の市町村の運営で、これが一万二四三七カ所、九六.八万人、社会福祉法人立が九八三五カ所、九一.一万人である。
認可保育所の中には企業の保育所はほとんどない。
公立保育所で企業が運営しているところが数カ所あるが、企業は非常に参入し難い状態である。
社会福祉法人も一応私立ではあるが、これは普通の企業や個人ではなく特殊法人なので、労働条件も子育てサービス提供の条件も公立に準じている。
それでも公立と社会福祉法人立にはいくつかの点で違いがある。
例えばO歳児から二歳児までの乳児保育を手がけている割合は、二OO二年のデ1タで公立が三七%、社会福祉法人立が七六%。
つまり公立は本当に手のかかるところはやっていない。
時間延長保育についても同様で、公立でやっているのは二七%しかないが、社会福祉法人立は六八%がやっている。
普通の保育所は夕方六時に閉じてしまう。
それ以降七時までの保育を時間延長保育がなぜ大切かというと、大都会の場合に職場と住宅が離れているので、フルタイムで働いている女性が六時までに子供を迎えに行くのは事実上不可能だからだ。
従って、公立の保育所に入れるのは近所の商店会の人やパ−トの人などが中心で、都心などでフルタイムの仕事をしている人は公立の保育所には預けられないことになる。
公立の保育所は子育て支援のインフラ整備予算の大半を使っている。
それがこういう状況だから、非常に問題がある。
なお夜間保育に至っては公立には全くなく、民間施設の中にほんのわずかしかないという状況である。
公立保育所はサービスが限定的なだけでなく、非常にコストが高い。
コストが高いのは単価が高いからで、これは公立の保育所の多くが三O年ほど前に整備されたことと関係している。
その頃、日本は高度成長の時代で、働く女性のほとんどは家計補助的なパ−トや臨時工であり、彼女たちが乳飲み子を抱えて労働するのは大変だということから、全国に公立保育所が整備された。
当時としては世界の中でも比較的進んでいた。
当時は保育所の職員が若く労働単価が安かったが、公務員は年功賃金のため、三O年以上たったいまでは高齢化が進み、年配の保育士は年間給与が八OO万円から一000万円という人も珍しくない。
乳児保育の場合には職員一人で三人以上は預かれないため、乳児一人当たりの労務費が非常に高くつくことになる。
このほかにも調理師を置いたり、スペースをつくったり、規制が厳しいこともコスト高につながっている。
保育児童の費用単価を正確につかむのは難しい。
なぜなら、O歳児や一歳児は保育士一人で多くても三人までしかみられないが、五歳児などは一人で二O人ぐらいみる。
その経費が一括計上されるため、乳児保育の単価がいくらかは正確にはつかみ難いが、大都市の場合、二歳未満幼児の保育には諸経費を加算すると、月間五O万円もかかっている可能性がある。
社会福祉法人は公立よりはやや抑え、ほぼ準じている。
いわゆる民間の保育所はほとんどが無認可だが、園長が一人であとはパ−トや若い人を組み合わせて、乳幼児一人当たり二認可保育所のほかに、都道府県知事が認可していない認可外保育所がある。
認可保育所は公立と社会福祉法人立がほとんどだが、認可外は普通の企業や個人が経営しているもので、無認可と未認可を合わせて行政が把握しているのは、二OOO年の時点で九四三七カ所である。
国の基準には従っていないが、地方自治体がそれぞれの事情に合わせて指導.監督.補助するという準認可保育所というものもある。
東京の認証保育所は一六四カ所。
これは企業に経営させる例が多い。
横浜では国の基準とは別に横浜型保育室という独自の保育施設を一三六カ所運営している。
このほかに全く補助を受けず準認可でもない託児所とかベピ−ホテルと言われる保育施設も結構ある。
この数は正確には分からないが、二O万〜三O万人ぐらいの幼児を受け入れているとされる。
多くの企業では半年ぐらいの育児休暇があるから、O歳児の多くは母親が育てている。
上記のO歳児の数字が小さいのはそうした事情を反映している。
一歳以上になると育児休暇はほとんどなくなるから、本当は子供を保育所に預けて仕事に出たいのだが、低年齢児の受け入れはコスト高のため保育所側は歓迎しない。
公立の認可保育所の場合、市町村から出る予算は低年齢児については少し増えるが、持ち出しにはならなくても、保育所としては余裕がなくなってしまう。
このため低年齢児の定員を抑えるとか、極端に言って受け入れ拒否に近い感じの対応をするところも多い。
保育所に入れない子供を待機児童と言い、二OO三年四月現在で二万六三八三人と集計されている。
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